わたしは海外で生活しながら、独学で一級建築士試験の学科に合格することができました。
この記事では、その経験に基づき、今後独学で一級建築士の学科試験合格を目指す人に向けて、勉強法を紹介します。
設計製図については、下記記事を参考にしてください!
一級建築士の学科試験に、海外で仕事をしながら一発で受かったわたしは、2次試験である設計製図試験も独学でなんとかなると思っていました。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://www.global-lif[…]
1級建築士の学科試験を無事突破できそうで、設計製図試験を受ける予定のあなたに。設計製図の道具は資格学校が売ってくれているから、ひとまずそれを買っておけば良いのかな?グリットわたしの個人の経験としては、製図[…]
まず背景として、建築学科を卒業して2年間働き、2016年に一級建築士の受験資格を得ました。
しかし、わたしの職場は年の半分以上が海外出張で一回の出張期間は1ヶ月から長いと3ヶ月、つまりほとんど海外に住んでいるような状況。
多くの人のように、大手の総合資格学院や日建学院といったいわゆる「通学」が求められる資格学校に通って勉強することができませんでした。
「多くの人が数十万というお金をかけて資格学校に通っても合格率はたった18%程度」という試験に独学で、しかも日本の法律や建築に触れることのない海外勤務という状況は正直かなり厳しいと思いました。
しかし、工夫をこらしながら勉強をすすめることで、試験5日前に帰国し、無事1発で合格することができました。
ちなみに、わたしは製図もほぼ独学(オンラインで添削してもらう形式)で行い、合格できました。
製図の独学は難しいとよく言われることもありますが、学科は過去問が基本になっているため独学でも工夫していくことで合格することができます。
そんなときに、海外にいるからといって一級建築士をあきらめるのではもったいないです!
この記事では、そんな人に向けて、わたしが実際に行い、海外在住ながら1発で合格した独学勉強法をご紹介していきたいと思います。日本で独学をしている人・考えている人もぜひ参考にしてみてください。
試験の申込みや受験資格については、一級建築士試験 建築技術教育普及センターのホームページをご覧ください。
一級建築士学科試験 独学1発合格時の点数はかなり余裕があった
独学で合格と聞くとこんな風に思うかもしれません。
つまり、独学でも的確な方法で勉強することで、余裕を持って合格することができるということです。
わたしのそれぞれの点数と基準点は、下記のとおりです。
科目 | 点数 | 基準点 |
計画 | 16/20点 | 11点 |
環境・設備 | 17/20点 | 11点 |
法規 | 28/30点 | 16点 |
構造 | 27/30点 | 16点 |
施工 | 18/25点 | 13点 |
合計 | 106/125点 | 90点 |
一級建築士学科試験 独学合格のためのテキスト・教材
私が使ったテキスト・教材は主に3種類だけです!
法規試験に必須な法令集+法規のウラ指導
法規試験に限り、承認されている法令集を見て問題に答えることができます。
また、その法令集には規定に基づく範囲で、書き込みや色分けなどをしておくことができます。
法令集はいくつかあり、承認されているのは下の4つ。
- 総合資格学院の「建築関係法令集」
- 建築資料研究社の「建築基準法関係法令集」
- 井上の「建築関係法令集」
- 井上の「基本建築関係法令集」
このなかで、わたしが実際に使い、おすすめしたいのが総合資格学院の「建築関係法令集」です。
サイズがB5サイズと他のものよりも大きいです。
このサイズが重要で、限られた時間のなかで必要な情報を早く見つけるには、ページ数が少なく、文字が大きいこの法令集が一番優れていると思います。
法令集に併せてぜひ揃えたいのが、「一級建築士合格戦略 法規のウラ指導」。
法令集への線引きは、資格学校では授業で行うそうですが、独学では自分で引いていく必要があります。
- しかし、どこに引けばわかりやすいのか?
- また、そもそも法令集のどこに何が書いてあるか?
- 書き込みの制限があるみたいだけど、どの程度書いてよいのか?
といったことは、独学だとわかりにくいですよね。
この法規のウラ指導を使うことで、問題を解きながら線を引いたりインデックスをつけていくことができるので、初めて法令集を読む人でも重要なポイントをしっかりとおさえることができます。
充実した量の過去問を勉強するための合格物語
続いて、法規以外も含めた勉強をするうえで必要な「問題集」です。
例えば、大手資格学校である総合資格なども、過去問や過去問に沿った問題集「総合資格学院 1級建築士試験(学科)」などを出しています。
これらの過去問でも多くの問題を含んでいますが、実際の過去問では7年分しかないという点に少し不安が残ります。
扱っている問題は過去問以上でも以下でもないのですが、その膨大な問題の数とパソコンを勉強できるという点がとても優れていると思いました。
例えば、ランダムに設定したり、問題を自分のなかの難易度ごとに分類して、覚えられていないものだけを勉強するようにするといったことができます。
紙の問題集だと何度も解いているうちに、なんとなく場所やページで答えが分かってしまったりすることがあると思いますが、パソコンで解くためそういった問題がありませんでした。
過去問の内容を理解し、周辺知識をつけるためのテキスト集
基本的には過去問を解き、理解することが合格への近道ですが、過去問を解いていて、なぜその答えになるのか?や、もし条件が違ったらどういった答えになるのか?といったことまでは過去問を解くだけでは分からないと思います。
そのため、分野ごとに最低限のテキストを用意しておくと良いでしょう。
一級建築士学科試験用にまとめれたテキストについては、資格学校が出しているものはないのですが例えば、「ヴィジュアルで要点整理 1級建築士受験 基本テキスト」のシリーズは、図もあって端的にまとめられているので、良いと思います。
また、先程ご紹介した合格物語のホームページでは、Web講義というページが有り、無料で重要なポイントや、問題を解くための追加知識などがまとめられているので、参考になりました。
独学合格の鍵はブログをつけること
参考書・問題集をご紹介しましたが、これらをやみくもに進めても合格までは届かなかったのかなと思っています。
わたし自身、勉強する中で情報収集し、試行錯誤しながらより良い勉強法を考えてきました。
過去の合格者の経験から学ぶ
試行錯誤の際に、参考にしたのは、これまでの独学合格者の人がどのように勉強し、合格したのかということです。例えば、下記の書類やブログなどです。
- 一級建築士受験 合格者たちの勉強法
- 過去の独学合格者のブログたち(特に、石垣島とつづける日記など)
一級建築士受験 合格者たちの勉強法の本は、うまい勉強方法の必要性と一例について紹介してくれます。
ブログは、みなさん教科ごとに分けて書いてくださっているので、通勤途中など、なんども読ませていただき、「覚え方」や「理解の仕方」、「注意点」などとても良く理解することができました。
自分でもブログ記事を書き、理解を深める
同時に、自分でも新たに発見した覚え方などについてはブログを書くことで発信するとともに自分自身の理解を深めていくことができました。
参考までに、わたしが一級建築士学科試験合格に向けて書いていたブログは、こちらです。
合格物語(過去問)から自分の苦手な傾向を理解し、強化訓練する
過去問は、合計3回すべての問題を解き、それ以降は苦手な問題に特化して勉強しました。
まず3週回す間に、自分の苦手や傾向を理解するようにしました。
単純に正解できるかではなく、理解して正解できているかという基準で、問題を「付箋機能」を使って分類(理解済み、あやしい、理解できてない)していきました。
その後、4,5週目では、あやしい・理解できていないに分類した問題を、さらに難しい問題にしていく(グレーでキーワードを隠し、穴埋めにする等)作業を行いました。
実際の問題では、過去問と全く同じ問題はほとんど出ません。一方で、ほとんどは言い回しの違いやその周辺知識と言われています。
そのため、過去問をさらに難しい問題にして解いていく勉強で、「過去問暗記していて正解がわかる」といった状態や「なんとなく正解がわかるという」という状態から、「理解していて正解か判断できる」にしていくことが、合格への道だと思います。
可能であれば資格学校の無料(一部有料)の模試を受けてみる
各資格学校は無料(一部有料)の模試を頻繁に開催しています。もし可能であればそういった模試を受けてみることをおすすめします。
もし、友人で資格学校に通っている人がいたら、模試だけで良いから見せてほしいとお願いするのも良いかもしれませんね。
それらの模試は過去問とは違い、周辺知識も含めた問題なので、模試を解くことでどの程度の周辺知識までつかむ必要があるかを確認できると思います。
また、資格学校の人の点数分布ももらえるので、客観的に自分の位置をつかみながら進める事ができます。
一級建築士学科試験 独学一発合格したときのスケジュール
前年:1日平均1ー2時間でスタート
学科試験の1年前、一級建築士試験の一次試験が終わったとの話を聞き、8月から勉強を始めました。
Web講義をまずは読み、合格物語を手探りではじめ、法規を除き解き終わったのが確か10月頃。
勉強時間を最初は1日平均1ー2時間、秋以降は1日平均2ー3時間と少しずつ増やしながら、勉強する習慣をつけていきました。
また、勉強する中で、必要な知識量がどのくらいあるのかを考えながら進めていました。
当年前半:1日平均2ー3時間
年をまたぐ前に広く浅くやってきたことで、1月には全体像が見えてきました。
また、このころから法規の勉強を開始しました。
2月から5月は一時帰国して受けれるタイミングや友人から見せてもらった模試で定期的に感覚を掴みながら、同時に合格物語で理解できていない問題を抽出していきました。
当年ラスト2ヶ月:1日平均3時間を継続
6から7月頃には、より一層、可能な限り模試に取り組みました。
90点以下を取ることは1度もなかったですが、90点台前半だと焦る意識でやりました。
100点超えを常に意識し、ウラ指導の模試は結局2回ずつ解きました。
他の模試も、キングファイルにまとめ、ざっと見通すのを2,3回しました。過去問ともしの違いをきちんと理解することが、かなり効果があったのではと思っています。
新問題(過去問とは関係のない問題)でも絶対にできない問題と、過去問の周辺知識を生かすことで想像から正解できてしまう問題があることが理解できてきました。
過去問も結局100%できるようにはなってない、けど、合格点がとれたのは、新問題を取るための特訓として模試に取り組み、そこでの教訓を活かして合格物語を自分用に進化させていったことにあったかと思います。
最後に:一級建築士学科試験を独学一発合格するために
海外で仕事をしながら、有限の時間のなかで資格試験に取り組むこととても大変なことだと思います。
繰り返しになりますが、試験範囲はとても広いので、点数を取れるだけの知識(過去問+アルファ)の感覚を意識しながら、過去問周辺知識を自分の知識としていく事が合格につながると思います。
わたしの勉強時間も参考にしていただき、効率的に一級建築士学科試験の独学合格に向けてがんばってください!
設計製図については、下記記事を参考にしてください!
一級建築士の学科試験に、海外で仕事をしながら一発で受かったわたしは、2次試験である設計製図試験も独学でなんとかなると思っていました。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://www.global-lif[…]
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