海外在住で一級建築士製図試験にほぼ独学で合格した方法

一級建築士の学科試験に、海外で仕事をしながら一発で受かったわたしは、2次試験である設計製図試験も独学でなんとかなると思っていました。

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しかし、全くそんなことはなく、1年目はB評価(あと一歩)で不合格となってしまいました。

落ちておいてなんですが、効率的に勉強できれば、この記事で紹介するほぼ独学な方法でも一発目で受かることは可能だと思います。

グリット
ほとんどの人が大手2社+1の製図コースに通う中で、それ以外の方法で、しかも海外で仕事をしながら合格できた方法をご紹介します。
ぐら
試験の3日前に南アジアから帰国し、時差ボケを直して試験を受け、翌週にはまた出張に出かけるというかなり過酷なスケジュールだったね。

こんな人にオススメ

  • 一級建築士の製図試験を受ける予定がある
  • 海外での仕事や日本国内でも地方に住んでいて学校に通えない
  • 手書きの設計なんて仕事で使わないから、0から勉強が必要

 

▼設計製図試験にオススメな持ち物リストは、こちらの記事をご覧ください!

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一級建築士製図試験の通信講座の大手3社の対応状況

1年目の不合格を引きずりながらも、2年目どうするかを悩みました。

懸念点は、1年目同様に海外へ長期出張が試験の日程までの半分以上を占め、日本でスクールに通いながら勉強できないことでした。

総合資格や日建学院、TACそれぞれに相談しました。

下の表で、2年目受講の場合の料金と通信講座での対応状況をまとめました。

料金は、2年目のもので、1年目(8月−10月)の場合は値段も多少安く、課題数も少ないので注意してください。

総合資格の場合は、スキャンでの添削もしてくれるという話でしたが、料金が通学講座と変わらずにかなり高額です。
また、日建学院とTACの通信講座は料金は割安ですが、郵送での添削のみとのことでした。

学校名値段(課題数)通信講座の対応方針
総合資格85万円+税(17回)スキャンによる添削可能
日建学院13万円+税(12回)郵便での添削のみ
TAC25万5千円(13回)郵便での添削のみ

※情報が古い場合があります。それぞれの最新情報は公式ホームページより確認ください。

海外で働きながら郵便で添削をしてもらうのは、送料や時間を考えてもかなりのロスになります。
特に時間に関しては、課題を解き終わってから添削されるまでに1週間以上空いてしまうと、その間に別の課題を解いたりしていて、その課題には前の課題の教訓が活かされないので、効率が悪くなります。
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スキャン添削がある通信講座

大手3社から条件の良いところが見つからなかったため、それ以外のところを探すことにしました。

海外にいながらのため、添削のみ(ほぼ独学)で勉強するスタンスで対応いただけるところを探しました。
スキャンをもとに添削をしてくれるという条件で、わたしが見つけたのが下記の4つです。

グリット
実際に全てのところから添削をいただいたので、それぞれの特徴を具体的に説明していきます。
製図のウラ指導約15万円(10課題)
設計製図.com22万円(10課題)
建築士塾約20万円(18課題)
一級取るぞnet約6500円/1課題 (全6課題)

製図のウラ指導

製図のウラ指導には、1年目にお世話になりました。
1年目だったため、10課題ではなく後半戦の5課題のみの添削を受けました。

後半戦フルコースというもので、内容は下記の通りです。

  • 過去問題研究講座
  • 後半戦国語力開発講座
  • 後半戦通信添削5課題
  • 後半戦一発逆転模試

まず、過去問研究講座で過去の製図試験の問題と模範回答例、注意点などが確認できます。

国語力開発講座というのは、課題発表で最低限決められている条件のなかで、自分が考える理想の建物を製図して添削を受けるというものです。
その建物において理想形を理解しておくことで、課題で条件が加えられたとしても、理想形に近づけるように課題を解くための訓練になります。

課題としては、後半戦(試験内容発表後)の場合は模試を含めて合計6課題です。

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製図のウラ指導の良い点

国語力開発講座と6課題は、他の人が提出した課題の添削も見ることができます。ABCなどの評価ごとに他の人の課題がまとめられているので、良い図面とはどういったものなのかということが良くわかります。

製図のウラ指導の良くない点

わたしが1年目受講した印象としては、課題数が6課題のみだと少ないでした。
講師側としても、1年目で受かることはあまり想定していないような教え方だったのが残念です。

課題提出後の添削に関しても、提出後、添削には早くて数日かかりました。また、添削してくれる方が毎回異なるため、指摘の箇所が毎回変わり、何が本当に重要なのか理解が不十分なままテストを迎えてしまいました。

設計製図.com

設計製図.comは、1年目の直前模試のみ受けました。代表の山口先生を中心にみているので、教えている内容と添削内容が同じなので一貫性という意味では抜群です。2年目に関しても、メルマガには登録し、一部役に立ちそうな教材を購入しました。

グリット
メルマガは無料なので、登録しておくと良いと思います。

遠方から挑戦する場合に一番良さそうなのがオンライン指導コースです。

オンライン指導コース生としてのコミュニティ感のあるオンラインコースを開催します。ご自宅でエスキースや図面が描ける+パソコン+wifiが使える環境であれば、ご自宅がそのまま教室に変わります。遠方での受験生は特にお勧めできます。

設計製図.comの良い点

冒頭にも書きましたが、指導に一貫性がある点が強みだという印象です。
階段パーツ・部屋パーツなど、パーツに分けて書くための教材があり、その組み合わせで図面を買いていくというのがとてもわかりやすいです。

わたしが受けた時には上記のオンライン指導コースはなかったので、毎年進歩しています。

設計製図.comの良くない点

8月中くらいまでは、実際の試験とかけ離れた内容の指導・課題があります。8月後半から9月では、総合資格や日建学院の課題の傾向も踏まえて、本試験に近い形式に課題のクオリティも上がっていく印象です。

また、かなり個人的な印象ですが、山口先生の手書きの字が少し読みにくいと思いました。

建築士塾

2年目に実際にわたしがお願いしたのがこちらの建築士塾です。
本来はスキャンによる添削はそれまでされていなかったということでしたが、特別に対応いただけました。

1番の決め手は課題数の多さです。2年目の試験の場合、本試験発表までに7課題、発表後に11課題、合計18課題に取り組むことができます。

わたしの1年目の反省は明らかに課題慣れ不足であったことから、課題数が多い建築士塾にお願いしようと決めました。

建築士塾の良い点

基本的に1人の先生が添削を行なっているため、特に添削に一貫性があります。課題も課題発表後に11課題あるので、かなり基礎的な問題から中級レベルの問題までレベルをあげながら解いていくことができます。

難しいパズルのような問題を解くというよりは、基本に忠実な理想的な空間に向けて、重要な要素を押さえながら解いていく、というスタンスです。海外にいながらも、スキャンしてお送りした図面を1日以内に添削いただくことができ、メールや電話での相談もかなり親身にのっていただけました。

建築士塾の良くない点

課題の難易度としては、ほぼ全ての課題が実際の試験よりも簡単でした。他の資格学校では本番以上の難易度の課題を解いているという情報も入ってくるため、不安になりました。
また、課題の数は多いですが、バラエティという面では少ない印象です。

初心者向けに、基本に忠実に解けるようになりたいという人には最適です。実際に、本番は難易度が多少高くても、押さえるべきポイントを押さえていけば合格できます。

一級取るぞ.net

一級取るぞnetは、設計製図試験としては珍しく課題ごとに添削をしてもらえます。わたしは2年目に建築士塾の課題を解きながら、一級取るぞ.netの6課題も全て購入して解きました。

一級取るぞ.netの良い点

1課題目のみ難易度が低いですが、2課題目以降は本番と比べてもレベルが違うくらい難易度が高いです。エスキスも3−4時間かかり、やっと解けるような問題なので、難しい問題を解きたい場合には抜群です。

一級取るぞ.netの良くない点

本番に対して難易度が高すぎるため、一級取るぞnetのみ受講するのは良くないと思います。他のところで添削を受けながら、補完として使うのに最適です。

製図試験の情報収拾方法【ブログ・インスタグラム】

一級建築士試験の設計製図試験は情報がとても重要です。ある程度の情報を持ちつつ、情報に流されすぎないという両方が大切になります。

ブログでは、ビリケツくんという方が毎年情報を発信されているのでとても参考になります。

また、instagramで#一級建築士 とか #設計製図 というハッシュタグを記載して図面を投稿している人がいるので、検索して資格学校でどんな課題を解いているのか確認すると良いでしょう。

2ちゃんねるからも情報はありますが、みな情報を拡散したがらないのであまり情報がなく、読むのには時間がかかります。
情報に踊らされることになりかねないので、2ちゃんねるは読まないほうが良いと思います。

海外在住で一級建築士製図試験にほぼ独学で合格した方法まとめ

すでに3時間で書くことのできるようになっていた2年目は、学科独学のように自ら情報を集め、積極的に質問をし、様々なパターンを想定したうえで、優先すべきポイントを整理しながら進めました。

まず忘れてはいけないことは、本番の問題作成者はどの資格学校の先生とも確実に違うということです。

グリット
資格学校の添削を使いながらも、独学のつもりで重要なポイントや考え方は自分で整理していくことが重要です。

例えば、浴室は地下が一番と言っているところや、露天だと2階にないと意味がないと言っているところ等、実は学校によってバラバラです。そういったところは、優先順位を下げ、「どちらでもあり」としましょう。

一方、客室の配置で建物のコアが決まることが明確だったので、客室の配置はツインコリダーを基本としつつも、正方形で内部をL字で配置することや、2階で客室以外にも重要な室を設ける必要がある場合など、課題に出されていない例も自ら考えながら進めました。

2年目で、前半に十分勉強していたこともあってか、一級とるぞ!.Net の問題はとても有効でした。自由度を求める最近の傾向からすると違うのですが、自由度がかなり限定的な際に、取捨選択して解いた問題に対して、それ以上に良い解答例が示されるので、エスキスで足りなかった視点が明確になりました。

それに対して、建築士塾は、自由度の高い問題が多く、類似した問題を数多く(11問)こなしながら、多くの質問にタイムリーに答えていただいたところが非常に役に立ちました。自由度が高い場合、部屋のスペースが余ることが多くなりやすいです。そういった際に、いかに風通りがよくパッシブな建築とする等、公共建築で重要な視点をきちんとPRできる図面づくりの練習が出来ました。

まとめ:2つの添削から学べたこと

  • 建築士塾で自由度の高い条件でのバランスのとり方
  • 一級とるぞnet で制約や問題文内のひっかけも多い条件での、できる限り問題作成者の意向に応えるエスキスの仕方

正直なところ私のように普段設計業務に直接関わらない人間には、片方では合格が出来なかったとも思います。

❶求められているものに応え、❷空間構成としてバランスのとれた建築を作る という2点を達成するできるように、添削をうまく利用していくことが重要です。

▼設計製図試験にオススメな持ち物リストは、こちらの記事をご覧ください!

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